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黒地に白
White on Black
1965年
油彩・麻布
182.0×227.5cm
1965年 第1回日本芸術祭(JAF)国内展示(国立近代美術館)
具体美術協会のリーダーとしての古原治良の1950年代後半の活動は、数々の野外イヴェントやハプニングなど、絵画の枠を優にこえて芸術の限界にいどむものであった。そうした活動が再び絵画制作へと収束していくなかで、1960年代のはじめに火炎のようなとぎれとぎれの輸をあしらった連作が生まれ、やがてそこから吹きあげる火の粉が一掃されて、古原最晩年の仕事に属する円や円環の世界が生まれた。
古原の純粋抽象の仕事は戦前、二科会に出品しはじめた1930年代の中ごろまでさかのぼるが当初からそこには世界を要素的な形態へと単純化する還元的姿勢とも、逆に要素的形態から始めてある一つの世界を組み立てる構成的姿勢とも異なる、形と形の優れて動的な均衡や緊張に対する感覚があった。この作品の場合、画面には文字どおり黒地に自い円環があるだけで、全体はまったくの平塗り、自由な表現の余地としてはわずかに円環の大きさや太さ、その輸郭の表情が残るにすぎない。が、それは、単純な外見にも似ず、内に運動への弧い衝動を秘めた作品である。円環は外側へと拡張し、内側へと収縮する潜在力を与えられ、黒地に白い円環という基本構造自体を絶えず脅かしている。つまりそこには、創作と鑑賞の一回性において、ある経過や過程―ということは、画面の枠をこえた形態のより全体的な関係性―が望見されるのである。