133 香月泰男(1911−1974) 水鏡 1942年
山口県生まれ。東京美術学校在学中の1934年に国画会展に初入選。39年第3回新文展で特選、翌年第15回国画会展で佐分真賞を受賞し国画会同人。43年応召、シベリア抑留の後47年に復員。48年山口県三隅町に定住。サンパウロ・ビエンナーレ等に出品。56−57年欧州旅行。69年シベリア・シリーズが第1回新潮社日本芸術大賞受賞。
枯れ草がうな垂れかかる水槽とその暗くよどんだ水面を覗き見る少年。遠い夏の思い出のようなこの絵には、幼い頃両親と生き別れ、祖父母のもとで育った香月の孤独な少年時代が投影されている。日常的な題材を扱いながら、余分な要素を極力排除し、縦幅(奥行)が制限された特異な画面の中央部を暗い水面がおおうという、意表をつく画面構成を導入し、静止したような透明感に満ちた象徴的な空間を現出している。香月の抒情的時代の代表作の一つ。