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ルドンの幻想
Fantasy from Redon
1956年
ポリエステル
高 37.0cm
1956年 第2回日展
出品時には《少年の首》として出品されながら、後に今あるような題名に改められており、その経緯についてはよく分からない。感情を極カ抑えたような表現で、伏し目がちに物思いにふける少年の表情は、見るものに不思議な印象を与える。いうまでもなく、オディロン・ルドンは19世紀から20世紀にかけて活躍した、フランスの代表的な象徴主義の画家であるが、あるいは作者は最初から、特定したどの作品というわけではないものの、ルドンの作品全体の持つ象徴的で、神秘的な作風に惹かれて制作したのかもしれない。確かにこの作品には多くのルドンの人物画にみられる内省的な画風に近いものがあることは確かで、ここで使われているポリエステルという材料も、黄土色をした彩色と相まって、この彫刻にブロンズとは異なった柔らかみのある質感を与えるとともに、やや瞬昧で幻想的な雰囲気を持つ空間を造りだすのに役立っている。