現在螺髪のすべてを失い、両手、足先等を補足しているが、当初は両手先を除く像のほぼ全容を檜の一材から彫成していたものであろう。像は頭部を小さ目にまとめ、これに比して肩の張りを大きくとって幅広い体貌につくり、面奥、体奥にも十分な厚みをもたせているので、一メートルほどの小像とはみえぬ堂々とした風格がある。衣褶の彫りも像の大きさにくらべ大ぶりで、しかも深く、強く、特に外方に張る両袖部では渦文などをまじえてにぎやかに重畳させ、これが裳裾を後方へ引いた反り身の体勢に流動的な働きを与えている。製作は九世紀末十世紀初頭ごろと思われ、この地方にのこる平安古像中、特色ある作品といえよう。