わが国では書画や工芸品の保存のため、伝統的に桐製の保存箱を多く用いている。これは桐箱が箱外の温湿度の変化に緩やかに適応していく性質があり、美術工芸品を安定した環境の中で保存管理する上で極めて有効であることによる。このため国宝・重要文化財等の美術工芸品修理の際に桐の保存箱や箪笥【たんす】を製作し、これに収納することにより保存の万全を期すことが原則となっている。
保存箱や箪笥の製作にあたっては十分に吟味された材料と正確かつ熟練した指物【さしもの】技術が要求されるが、現在、美術工芸品の修理技術者に協力し得る優れた技術保持者は極めて少なくなってきており、当該技術を保護する必要がある。