本図は、侍童を従えた李白が断崖より落下する瀑布を望む李白観瀑の故事を図したもので、図上には惟肖得巌の著賛が見られる。賛者得巌(一三六〇~一四三七)は、応永・永享期における五山文学に重きをなした著名な禅僧で詩画軸に著賛する画幅もきわめて多い。本図は描写、様式の上では永享五年(一四三三)得巌の賛のある聴松軒図より古致を伝えており、得巌の賛の書風をも考慮すればその制作の時期はおよそ応永の末年が想定される。本図は、観瀑図の中で最も古い作品として重要であるばかりか阿弥派・狩野派など室町水墨画の様式展開を知る上で資料的にもきわめて貴重な作品といえる。