蔦細道蒔絵文台硯箱
つたのほそみちまきえぶんだいすずりばこ
工芸品 / 江戸
- 東京都
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江戸 / 1601-1700
- (文台)木製黒漆塗で、長方形の甲板上左右両端に筆返しを据え、四隅の下面に刳り形の脚を付ける。総体に平目地に薄肉高蒔絵を主体として銀蒔きを加え、さらに金金貝、金銀切金などの技法を用いて、楓と蔦が生い茂る山道を全面に表し、左方に封じ文と斧を括り付けた四分一製高彫据金物の笈を嵌め込んでいる。甲板左右に設けた筆返しの上下両端金具、甲板周縁の四隅と長辺中央に付した八双金具は、銀魚々子地に楓文を据え文している。また、脚は平目時に金泥または金箔を施して摺り剥がした装飾を施し、幅広の銀製の覆輪を廻らす。裏面は淡い平目地で、中央下方に金金貝による銘文を三行に表している。
(硯箱)木製黒漆塗りで、方形被蓋造りである。蓋の甲板肩には四分一線を二重に廻らして几帳面をとり、蓋と身の口縁には四分一製覆輪を廻らしている。蓋表には、上方を黒漆塗り、下方を金地として封じ文と斧を括り付けた笈を加えた文台と同じ技法によるほぼ同じモチーフを表している。また、身の見込みの意匠は、金地に付描を加えて土坡と波文を表し、右上に二羽、左半ばに一羽の銀製の水鳥を配している。なお、蓋側面の内外面と身の側板内側には、平目時に金泥または金箔を施し淡く暈かした、文台の脚とやや趣を異にする仕上げを施している。身の裏面は淡い平目地としている。
内容品として、身の見込みには左右二方桟の筆架を付置して中央に長方形硯を嵌め、その上方には金銅製楕円形座金具に金銅製苫舟形水滴を据えている。さらに、、柄に金地に金蒔絵で楓を表した小筆二本があり、それぞれ筆帽を伴っている。また、銀製の錐、刀子には銀製の口金が付く。このほか、真鍮性の櫂形小刀がある。見込み中央には金金貝によって文台と同じ銘文を三行に表している。
- (文台)幅59.5 奥行35.1 高10.0 天板厚1.0(㎝)
(硯箱)縦25.4 横23.0 高5.3
- 1具
- 東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
- 重文指定年月日:20080710
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 独立行政法人国立文化財機構
- 国宝・重要文化財(美術品)
江戸時代前期に京都で活躍した蒔絵師・田付(たつけ)長兵衛(ちょうべい)高忠(たかただ)(生没年不詳)の銘を有する伝統的な形式をよく示す作品。総体を黒漆塗りとし、平目地(ひらめじ)に金の薄肉(うすにく)高蒔絵(たかまきえ)や金銀の切(きり)金(かね)などの技法を用いる。文台・硯箱ともに『伊勢物語』第九段「宇津の山」を意匠化して、山に楓と蔦、封じ文を括った笈(おい)などをモチーフとする蔦細道の場面を、硯箱の身の見込には流水と都鳥により角田河(隅田川)の場面を表している。