逆修とは生前に死後の往生菩提を願って行なう仏事で、平安時代から行なわれている。本巻は笠置上人解脱房貞慶が僧某のため、笠置山在住中の建久九年(一一九八)四月に草した七ケ日逆修願文の自筆案文である。第一日春日大明神の法味増進のため、第二日は先考、第三日は先妣回向のため以下逆修の趣旨を記し、修善として仏像や図像の造顕や写経などの作善を行なうことを立願している。外題に東大寺宗性が笠置上人御自筆と認め、貞慶四十四歳の草稿で、全文に傍訓・返点・声点を附してある。鎌倉時代法相宗を復興した貞慶の筆蹟として貴重である。