向かって右隻に春から夏にかけての花木、左隻に秋から冬にかけての花木を描き、一双で四季花鳥図を構成しており、両隻の間も霞や流水が連続する。数箇所に引手痕があるものの、襖を屏風に改装した作品によく見られる紙継の乱れもなく、屏風として通常の紙継であり、当初より屏風として制作されたとも考えられる。
花木の配置は一見羅列的であるが、前後関係は明瞭であり、土坡や渓流による遠近表現とも併せて、空間の奥行きに対する意識をうかがうことができる。細部的には、中国の小景花鳥画に範をとったところがあり、本図の筆者は元・明代の花鳥画を眼にしうる立場にあったことも推測されよう。
制作年代については、比較する材料に乏しく容易に判断し得ないが、金泥による雲霞の表現は古様であり、花鳥表現が瑞渓周鳳の賛のある花鳥図(京都国立博物館)とさほど隔たりがないところから、室町時代中頃が想定される。なお、両隻に土佐光起による土佐広周筆との紙中極があるが、土佐広周筆とされる「天稚彦物語絵」(ベルリン東亜美術館)と本図とは同筆とみなしがたいため、極は参考に留めるべきであろう。
雪舟系の花鳥図屏風とは全く別系統になる本図の存在は、全体像が明らかでない室町期花鳥画の一面を伝えるものとして極めて重要視される。