吉備津神社本殿及び拝殿 一棟
吉備津神社の創立はきわめて古く、古来備中国の一宮として有名である。現在の本殿及び拝殿は明徳元年(一三九〇)足利義満の命により再興が始められ、応永三十二年(一四二五)落成したものである。
本殿は内々陣、内陣の周囲に中陣があり、その前面に朱の壇(向拝の間)があり、さらに周囲に外陣をめぐらす複雑な平面をもち、床高も内々陣が最も高く、外方の室ほど低くなっている。外観においては高い亀腹の上に建ち、縁は挿肘木、皿斗付の大仏様を加味した組物によって支えられ、屋根もまた入母屋造を前後に二つ並べたいわゆる比翼入母屋造とするなど、各部とも複雑である。拝殿は檜皮葺切妻造の身舎の三方に本瓦葺の裳階を付け、本殿に接続させて向拝のようにしている。以上、全体として規模が大きく、意匠、構造はほかに例をみず、神社建築の中での一異色である。
【引用文献】
『国宝事典[第四版]』(便利堂 二〇一九年)