『別聚符宣抄』は、延喜二年(九〇二)から天禄二年(九七一)までの六九年間に執行された官符や宣旨など一三三通の文書を内容別に類聚し収録したものであり、延喜以降の朝廷諸制度を知るうえでの基本史料である。
本書は首尾を欠いて、書名を明らかにしないが、『類聚符宣抄』と類似する体裁であることから、『別聚符宣抄』の名称が付された。広橋家旧蔵になる現存一帖の残欠本であり、その巻数、編者、成立年代などは不詳である。
現状の体裁は上下綴を糸で仮綴した冊子装で、各葉の下隅に焼損がある。本来は粘葉装で、料紙に楮紙打紙を用いている。料紙の途中に紙継目があり、巻子本用の料紙を転用したものかと考えられる。押界(界高二三・七センチメートル、界幅一・八センチメートル)があり、半葉九行、行二〇字前後に書写する。全文ほぼ一筆であるが、少々墨書校異もみられる。
記載中には「或本入雑田部」「又在太政官部」や「皇太子事」「厨家雑事」などとあり、部目名や項目のいくつかが知られる。列記された官符や宣旨などから、儀式、国司の任官・交替、大嘗会、交易進上絹、暦・天文などに関する分類がうかがわれる。所収文書中には大幅な節略のある文書もあるが、多くは他にみられない文書である。
本書は、わが国の朝廷諸制度、法制史研究上に価値が高く、また、その書風から鎌倉時代中期の書写になると認められ、他に伝本のない写本として貴重である。