命婦の舞は、長崎県対馬に伝わる巫女舞で、現在豊玉町の和多都美神社例祭や、峰町の海神神社の例祭など、各地の神社の例祭で奉納されている。その発生は明らかではないが、近世には世襲的に継承されていたことが確認されており、その淵源は中世以前に遡るものとみられる。
その芸態は、白衣白足袋、緋袴に千早【ちはや】を着た命婦が、囃子太鼓を打ちながら神楽祝詞を唱えた後、右手に神楽鈴を持って古風な神楽歌をうたいながら四方舞を舞うもので、神楽の原初的姿の一つである往時の巫女舞を考えるうえで貴重な伝承である。
かつては藩の保護により島内にかなりいた命婦も、近代の社会状況の変化から減少して、現在ではその伝承が危ぶまれる状況になっており、早急に記録作成等の措置を講ずる必要がある。