河東節は,三味線音楽の一種で,十寸見河東【ますみかとう】(江戸太夫河東)が享保2(1717)年に江戸で語り始めた。歌舞伎音楽として劇場で語られたが,後に座敷での音楽として広まった。明治以降は古風な三味線音楽として,一中節【いっちゅうぶし】,宮薗節【みやぞのぶし】,荻江節【おぎえぶし】とあわせて古曲と総称され,ともに,その伝承がはかられて現在に至っている。
河東節は,京の一中節,大坂の義太夫節に対して江戸を代表するもので,その特色は江戸風の渋味と温雅さ,格調の高さにあるとされる。河東節三味線は,語り手の浄瑠璃とともに比較的単純な演奏のなかに,その特色である渋味や温雅さを格調高く表現するものであり,芸術上特に価値が高く,また芸能史的にも重要な位置を占める。