「花の作品が三岸節子を支えている」と自身が語るほど、作者にとって花の絵は70年以上に及ぶ画業において欠くべからざるモチーフであった。本作品では、華やかな色彩に溢れた瑞々しい花ではなく、すでに枯れて淡いグレーに消え入りそうになりながらも白と黄色をわずかに残す花を描いている。表面的な美しさや若々しさはなくとも、花としての存在や余分なものを除いた後にもわずかに内在する美や気品といったものすら感じさせる。80歳を過ぎてなお、花の多様な美しさを描き続ける作者の、精神的な肖像画ともいえる作品であろう。
花(ヴェロンにて)
三岸節子
花
白い花(ヴェロンにて)