因幡の麒麟獅子舞は、麒麟を象【かたど】ったとされる頭【かしら】をいただき、胴幕に大人二人が入って一頭の麒麟となって舞う民俗芸能である。麒麟の頭を用いることやゆったりとした動き、太鼓、笛、鉦【かね】を用いたゆるやかな囃子【はやし】などに特色がある。
鳥取県の東部、鳥取市、岩美町【いわみちょう】、若桜町【わかさちょう】、智頭町【ちづちょう】、八頭町【やずちょう】など旧因幡国【いなばのくに】にあたる地域に分布しており、地元の神社の祭礼において神前で舞を奉納するほか、氏子の家々を門付【かどづ】けして回る。
麒麟獅子舞は、一頭で舞われ、地を這【は】うようにゆっくり頭を回したり、ひねったり、伸び上がるように頭を上げたりする動作が特徴的である。獅子の他には、多くの場合赤い猩々【しょうじょう】面に赤い衣裳や髪の猩々が一人つく。演奏される囃子は、ジャンジャン(銅拍子【どびょうし】)を使用することが多い但馬【たじま】地方の囃子と比べて比較的テンポが緩やかで、鉦が穏やかに打たれる。
麒麟獅子舞は、鳥取県東部(因幡地方)から兵庫県西北部(但馬地方)にかけて分布しており、但馬地方では楽器にジャンジャン(銅拍子)を使うことが多いのに対し、因幡地方では鉦を使うなど、異なった伝承が見られ貴重である。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)