東寺長者補任は東寺(教王護国寺)歴代の長者の任命次第とその僧歴を記したものである。本文料紙は鎌倉時代の書状類を継ぎ立ててその紙背を用いたもので、弘仁五年(八一四)條より正和三年(一三一四)條首までを存しているが、巻中にしばしば欠出部分があるのが惜しまれる。本文の体裁は年別にその年の長者名を掲げて尻付註記があり、その稠密な記事は僧伝史料としても注目され、行間等に書き込まれた註記のあり方は従来の略本と広本との関係を考える上で興味深い。本巻は延慶年間をほど遠からぬ頃の成立と考えられ、鎌倉時代の伝存稀な古鈔本として貴重である。