線刻十一面観音鏡像 せんこくじゅういちめんかんのんきょうぞう

工芸品 / 平安

  • 福岡県
  • 平安 / 1134
  • 鏡胎は銅鋳製、円形、丸縁、素文、無圏。鏡面は凸面に作り、火焔を巡らせた二重円光背を負い、反花の蓮華座上に坐す十一面観音菩薩像を蹴彫りで表す。十一面観音菩薩像容は、頂上に仏面、下二段に各五面の変化面を重ね、冠帯を結わえた宝冠を戴く。瓔珞を付した胸飾、臂釧【ひせん】、腕釧【わんせん】を着け、条帛、腰衣、裳をまとい、天衣を大きく翻らせる。右手は掌を広げて膝前に垂下し、手首に念珠を掛ける。左手は胸前に構え、第一指と第二指で水瓶を乗せた開敷蓮華を執る。鏡背には上段に一箇、中段に三箇、計四箇の素鈕を鋳出す。
  • 径31.6 縁厚0.4〜0.5 縁幅0.7〜0.8(㎝) 重量1225g
  • 1面
  • 福岡市美術館 福岡県中央区大濠公園1-6
  • 重文指定年月日:20000627
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 福岡市
  • 国宝・重要文化財(美術品)

鏡面に十一面観音菩薩坐像を線刻した鏡像である。
 線刻は繊細かつ流麗で、均整がとれ堂々とした体躯を形作っている。着衣や天衣の衣褶【いしゅう】線など、細部も的確に表されており、あたかも平安時代の白描画【はくびょうが】を髣髴とさせる。鏡胎も素文ながら径が三〇センチメートルを超え、鏡像としては大型の部類に属するものである。
 さらに鏡背に記された銘文から、本件が長承三年十月二十三日、勧進大法師定俊【かんじんだいほっしじょうしゅん】によって、二月堂に施入されたことが知られ、十一面観音像の作風を勘案すれば、鏡像自体もこの時期に製作されたものと判断される。なお二月堂については東大寺二月堂を指すと考えられる。また定俊については、「前安房守伴廣親勘注案」大治四年(一一二九)三月日条や「東大寺牒案」永治元年(一一四一)十月二十九日条などに名の見える東大寺僧と同一と考えられる。
 平安時代鏡像の基準作として貴重である。

線刻十一面観音鏡像

ページトップへ