渥美(あつみ)半島出土との所伝をもつ。焼成の際、窯体内に舞い上がった降灰が表面に厚く付着したため、あたかも海中から引き上げた壺のような姿を呈している。利用に堪えない製品として、窯場の近くに投棄されたものであろう。(1414・考337)の常滑壺とほぼ同じ法量をもつが、頸部内側に粘土紐の巻き上げ痕を残し、また胴部に三~四条の窪みを巡らせるなど、細かな作行きに違いをみせる。口縁の端に丸みをもたせて折り返す特徴などから、渥美の13世紀前半頃の製品と考えられる。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.75, no.49.