樺色地枝垂桜鉄線模様長絹 かばいろじしだれざくらてっせんもようちょうけん

染織 能楽 / 江戸

  • 江戸中後期・18~19世紀
  • 丈108.0 裄81.0
  • 1領
  • 渋谷区千駄ヶ谷4-18-1 国立能楽堂
  • 収蔵品番号 NS79
  • 未指定

長絹は舞を主とした男女の役に用いたり、単法被の代わりに公達の武者姿にも用いられる。
 樺色絽地に金糸で織表した長絹で、背・両袖・両胸に枝垂桜の花熨斗文を、裾に鉄線花を散した、長絹である。
 草花を束にして檀紙で包み、水引で飾ったものを花熨斗、あるいはその形状から花扇という。七夕に禁裏へ草花を献じる習慣が室町時代の文献にみられ、江戸時代になっても続いていた。当時のこうした習慣に基づいた意匠が花熨斗文であった。
 一方、鉄線は中国が原産のキンポウゲ科の落葉性つる植物で、紫色の花が咲く。蔓が硬く、鉄の針金を思わせることから中国では鉄線蓮と呼ばれ、鉄線葛・鉄扇葛の異名を持つ。一般には江戸初期寛文年間に輸入されたとされるので、花熨斗文に対して異国風な花を配する意図があったと思われる。しかし『文明本節用集』(1474年刊)にも鉄線花の記載がみられるので、どうやら室町時代の中頃には日本に渡来していたらしく、むしろ能装束にはふさわしい意匠だったのかもしれない。
 「紅地麻葉繋花車模様縫箔」(国立能楽堂蔵)とともに伝わったとされ、土佐藩主山内家から明治維新後に高知城下屈指の豪商・川崎家へと伝来していた可能性がある。

樺色地枝垂桜鉄線模様長絹 かばいろじしだれざくらてっせんもようちょうけん

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