90
かわら おん
河原 温(1933−)
KAWARA,On
塵捨場(ちりすてば)
Dump
昭和29年(1954)
東京国立近代美術館蔵(作者寄贈)
日付だけを小さなキャンバスに描く〈デイト・ペインティング〉の連作をはじめコンセプテユアル・アートの作家と見なされる河原温は,1959年に渡米する以前,第二次世界大戦の人間の極限状況への戦後の実存的問いかけに呼応して,素描連作≪浴室≫シリーズや≪物置小屋の出来事≫シリーズを発表して大きな衝撃を与えた。この作品もそれらと同じ性格をもつもので,変形の画面が作り出す歪んだ空間に,切断されて物に断片化された裸の身体がごみ捨場のように集積し,不安と恐怖の光景を現出して,文明の非人間性を暴き立てている。