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鏑木清方(1878−1972)
KABURAKI,Kiyokata
巣林子
Sorinshi: The Pseudonym of Chikamazu Monzaemon
1935(昭和10)年
東京国立近代美術館蔵
巣林子とは近松門左衛門の号である。文机に紙を広げ,筆と硯を前にして浄瑠璃の構想を練る近松の姿が中央に描かれ,その構想が画面の上部に浮かび上がる。左上は『心中天の網島』の道行きの場面,右上は『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』の和藤内の虎退治の場面と思われる。夢や想像の場面を,現実の場面と同一画面に表す手法自体は,かならずしも珍しくはない。だが清方は美人画,挿絵,肖像画に力を発揮していた画家であり,ここで彼が,自ら得意とする挿絵的な物語表現と肖像表現とを同一画面に表そうとしている点は,興味深い試みといえよう。(S.0.)