127 小牧源太郎(1906−1989) 願望No.1 1938年
京都府生まれ。立命館大学在学中の1933年に「巴里東京新興美術展」を見てシュルレアリスムに関心を持ち、独立美術協会京都研究所に学ぶ。37年第7回独立展初入選。38年創紀美術協会の結成に参加、39年美術文化協会の結成に参加(54年退会)。61年国画会会員。
北脇昇とともに戦前の京都における前衛美術運動の推進役となった小牧は、とりわけフロイトの精神分析学に関心を持ち、人間の意識下の願望を幻想的に描いた。戦後はさらに民俗学的要素を加え、独自のイメージを展開させていった。この作品《願望 No.1》では、奇妙な形の岩山のあちこちが人間の姿に変容し、とくに一部は母子像のように見える。また遠景では裸体の女性が骨のような形の物体にぶらさがり、落下傘の兵士たちが降下している。戦争に対する不安と、そこから逃れて母親の胎内へ回帰しようとする願望とが、象徴的に表されているようである。