鄧石如【とうせきじょ】の印影【いんえい】を収録した冊。鄧は幼少の頃に父から篆刻の手ほどきを受けて、はじめ徽派【きは】、浙派【せっぱ】といった漢印【かんいん】を宗とする近人の作風を学びました。篆書の学習が進むと、確かな筆法を印に反映させ、書と篆刻が密接に連関する新たな様式を開拓しました。
後世、鄧の書と篆刻に多大な影響を受けた者に、、呉熙載【ごきさい】(1799~1870)・趙之謙【ちょうしけん】(1829~1884)・徐三庚【じょさんこう】(1826~1890)・呉昌碩【ごしょうせき】(1844~1927)らがいます。各者、鄧とはまた異なる独自の作風を築き、彼らは鄧派【とうは】と称されます。いずれも碑学派【ひがくは】の代表格と目されています。(六人部克典氏執筆)