文徴明【ぶんちょうめい】は蘇州画壇の首領として活躍し、のちに呉派とよばれる文人画の正統を確立した文人画家の一人です。昭和7年に滑川達【なめかわたつし】による跋があり、その後ろには清朝の高官で辛亥革命を避けて日本に亡命してきた羅振玉の跋があり、全体はおだやかな筆致は元四大家の呉鎮にならうもので、60歳ごろの作品と推測されています。「宣統癸丑」とは1913年。中国では1911年の辛亥革命で中華民国が成立していました。ここには清朝の遺民として中華民国の成立を認めず、宣統帝の年号を使う羅振玉の意識が表れています。