日食

絵画 日本画

  • 安田靫彦  (1884-1978)
  • ヤスダ、ユキヒコ
  • 大正14年 / 1925
  • 彩色・紙本・額・1面
  • 82.5×117.5
  • 右下に落款、印章
  • 12回再興院展 竹之台陳列館 1925

14
日食
Solar eclipse
1925(大正14)年
紙本彩色、額 82.5×117.5cm
color on paper, framed
第12回院展
靫彦は顧●之の〈女子蔵図巻〉などに早くから関心をもち、古代中国の歴史風俗に興趣を覚えていたが、「史記」の中からとくに幽王の日食の故事を題材にとって描いたのがこの作品である。中国周の幽王は溺愛する王妃褒●(ほうじ)の機嫌をとるため、しばしばむやみに烽火をあげて諸侯をまどわし、その慌てるさまを見て王妃が笑うのを喜んだ。しかし、本当に敵がきた時には少しも兵が集まらず、身を滅ぼしたという。靫彦はこの愚昧な王の末路を、音から凶事の前兆として嫌われていた日食と結び合わせて想を練り、服飾や器具も考証を綿密に行って巧みな構図で描き、これまでの歴史画にない内容の深みと妙趣を発揮した。不安感を示す薄暗い色調と微妙な線描きが、劇的な心理を効果的に表現している。靱彦はそれまでの有職故実一点ばりの、類型的な作風の歴史画に対して、内容的にも形式的にも新鮮な局面を切りひらこうとつとめ、第6回文展〈夢殿〉あたりから、理想主義的な香り高い、優麗な気品あふれる、新古典的画風による歴史画を確立していったのである。

日食

ページトップへ