小野遺跡出土蔵骨器 おのいせきしゅつどぞうこつき

考古資料 土器・土製品類

  • 茨城県
  • 平安時代初期
  • 灰釉陶器短頸壺:肩を強めに張り、底部を引き締めたプロポーションは小切れ良く、高台の開きが弱いものの、全体として端正な作りである。胴部下半には回転ケズリが5回転施され、粒子の動きからロクロの回転は反時計回りと観察される。胴部上半には濃緑色の灰釉が厚くかかり、特に窯詰めの際に焚口に向けられた「火前」に該当する部分では、高台まで細く簾状に幾条も垂下する。露台(素地)の色調は、灰白白(Hue7.5 Y7/1)で、灰釉は灰オリーブ灰色(7.5 Y5/3)に近似する濃緑色である。胎土に長石細粒を多めに含み、黒色粒子の吹き出しが若干みられる。色調、胎土、調整など総てにおいて精妙であり、愛知県猿投窯の製品と見て間違いないものと思われる。
    蓋:径の3/4が遺存し、つまみ部を欠失する。露胎の色調は灰白色(7.5 Y7/1)で、灰釉は灰オリーブ色(7.5 Y5/3)に近似する濃緑色である。長石細粒や黒色粒子を多めに含む。やや肉厚ながら作りは丁寧で、端部を外傾ぎみに垂下させている。灰釉は外面全体にかかるが、天井部を縦断するように流れ落ちた分厚い釉の筋が観察できる。窯詰めの際に立て掛けたのだろうか。法量や色調の点から壺本体とセットで製作されたものとみられ、そのまま当地にもたらされたと考えられる。壺と蓋が当初の組み合わせを保っている骨蔵器は意外に少なく貴重である。
    須恵器高台坏:およそ半分を欠損するが、全体の形状を把握するには十分である。焼成は普通だが、やや軟質気味。色調は暗灰黄色(2.5 Y4/2)で胎土は長石と石英細粒を多量、白色雲母微粒を少量含む。長くハの字に開いた高台をもち、口縁部は器壁を減じぬまま厚く丸く収める。ロクロの回転方向は反時計回りである。産地は広義の新治産(筑波山東南麓所在の生産遺跡の製品)とはいえるが、その特徴の一つである白色雲母が少量であり、かつ微粒であることから、典型的な新治の製品からは外れるようである。


  • 灰釉陶器短頸壺:口径10.3㎝、器高20.9㎝、最大径23.7㎝、高台径13.1㎝。蓋:口径12.1㎝、現存高2.5㎝を測る。径の3/4が遺存し、つまみ部を欠失する。須恵器高台坏:およそ半分を欠損するが、全体の形状を把握するには十分である。口径は復元値13.5㎝、高台径8.1㎝、器高6.1㎝。
  • 1揃
  • 茨城県稲敷市八千石18番地1
  • 稲敷市指定
    指定年月日:20200323
  • 稲敷市立歴史民俗資料館
  • 有形文化財(美術工芸品)

平成15年夏、稲敷郡新利根町小野遺跡より出土。

小野遺跡出土蔵骨器

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