アイヌの実用品にみるものづくりの美しさは、江戸時代後半以降、あらゆる場で注目され続けてきた。
イタを含むアイヌ工芸品が贈与・交換あるいは販売用に制作され始める年代は、少なくとも18世紀(西暦1700年代)まで遡ることができる。その後、明治・大正・昭和と移り変わる中で、農閑期の収入手段、博覧会への出品(1873年のウィーン万国博覧会など)、道内各地の観光地形成などといった経済活動とも結びついてきた。
沙流川流域はとりわけ、名工を数多く輩出している地域として知られている。二風谷の貝澤ウトレントク、貝澤ウエサナシ、平賀のイモンパウクらによる優れたイタが今日においても国内外の博物館に保存されている。また、イザベラ・バード(明治11:1878年)、吉田巌(明治44:1911年)らによるアイヌ工芸の称賛や、ハインリッヒ・フォン・シーボルト(明治11:1878年)、ハイラム・ミリケン・ヒラー(明治34:1901年)ら欧米の人類学者による収集民具など、1世紀以上前からの実証資料が今に伝えられている。
平成14年2月には「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」が重要有形民俗文化財に指定され、その一部にイタも含められている。平成25年3月には、地域に受け継がれてきたイタづくりの手わざが認められ、「二風谷イタ」として北海道初の伝統的工芸品に指定された。以降、同時に指定された「二風谷アットゥㇱ」と合わせ、後継者育成に向けた取り組みが強化されている。