義浄(635~713)による漢訳経典である金光明最勝王経は、我が国では天武朝以降、護国の経典として重視されてきた。奈良時代には、聖武天皇による、いわゆる国分寺造立の詔で、国分僧寺に納経が命じられた。
九州大学所有の本経には、平安時代後期の訓点、カナが明瞭に残されている。訓点は、巻第一の序品のみ朱で記され、以下はすべて白にて記される。朱点・白点とも東大寺点(三論宗点)に属する。もとは石山寺一切経の一部で、奈良時代の写本である。奈良時代写経の金光明最勝王経全10巻で完存するのは、西大寺本(国宝)と本経のみである。
平安時代後期の古訓点を備える資料として、奈良時代の写経として、国語学史上、仏教史上において大変貴重である。