篳篥は、西アジア起源の縦笛で、雅楽の管絃では主旋律を奏でる。管の上部に、芦の茎で作った蘆舌(ろぜつ・ダブルリード)を挿入して演奏する。小さな楽器だが大きな音を出し、その音色は迦陵頻伽の囀りなどと呼ばれる。
本管は、文政5年(1822)に京都方の楽家である多(おおの)家から入手されたもので、附属文書には、天正年間に多忠治(おおのただはる・1564-1612)が本家の父・忠雄(ただはる・1540-1603)より譲り受けたものが代々伝えられたとの由緒が記される。紫檀地に厚貝や染象牙の象嵌で貝海松文を表し、多家嫡流の家紋である酢漿草(かたばみ)紋をあしらった扇形の管箱、房付きの袋が附属し、二重箱に収められている。銘の蘭(あららぎ)は、フジバカマ、あるいはイチイの異称とされる。