黒田辰秋 1904-1982
赤漆流稜文飾箱(あかうるしりゅうりょうもんかざりばこ)
漆
H18.5, W31.2, d16.0cm 1957年頃
KURODA Tatsuaki
Ornamental box, red lacquered, ridged design
黒田辰秋は木工芸の分野で最初に人間国宝に認定された工芸家である。黒田は柳宗悦が提唱した民芸運動に共感し、昭和初期、「上賀茂民芸協団」という工芸家の共同体を組織した。その活動は3年ほどで行き詰まり解散したが、民芸協団の活動や、柳をはじめ河井寛次郎など、民芸運動の仲間たちとの交友を通じてさまざまな民芸品や過去の作品へと関心を向け、その研究を重ねていくことで独自の作風を確立した。
黒田辰秋は柳宗悦が所蔵していた李朝の棚を模作するなど、早くから李朝の木工品に深く傾倒した。李朝の木工品には、漢字や「卍」を浮き彫りで表した家具や箱などがある。黒田はこうした表現を取り入れ、漢字や花紋を浮き彫りや螺鈿であらわした作品を数多く制作した。この《赤漆流稜文飾箱》では、彫花紋と「卍」を融合させたような模様を箱の表面全体に展開させている。深く刻まれた彫紋が中心から外に向かって回転しながら広がりを見せ、躍動感あふれる作品となっている。
1904年 京都生まれ。生家は塗師屋(ぬしや)を営む。
1924年 河井寛次郎の講演を聴いて感銘を受ける。
1927年 「上賀茂民芸協団」設立。
1967年 皇居新宮殿の飾棚、扉飾など調度品を制作。
1970年 重要無形文化財「木工芸」保持者に認定される。