40
朝のオートルート
Motorway in the Morning
1964年
油彩・麻布
195.0×154.5cm
右下に署名、年記:SUGAI 64
1965年 在外日本作家展―ヨーロッパとアメリカ―(国立近代美術館)
菅井汲は、1952年に渡仏しているが、それは戦後外国に渡った画家として早い時期に属する。彼はパリで制作を続け、国際的な画家となった。最初は半具象的、次いで記号的形態の、筆触や色調に豊かなニュアンスのある《鬼》(1955年)、《武士》(1957年)、《侍》(1960年)などの作品によって知られたが、その後オートルートのシリーズに見られるような、機械文明、現代文明の感覚、スピード感や開放感を独自な様式で表わすようになった。
《朝のオートルート》は真中の弓型のフォルムでぐんぐんと速力を強めてはずむように進む車の力強さを表わす。赤の部分は車体のようにも、タイヤの形のようにも映る。朝の太陽の色でもあろう。青の放射状の帯は朝の光のような爽やかで、オートルートを快適に疾走する感覚が表わされている。のちに作者はシグナルのような、よりシンプルな形の幾通りもの組み合わせによってクールな感覚を増す作品を発展させていくが、この作品には、まだ手描きのタッチも残されている。現代仕会の中で、孤独になることはますますむずかしいが、「孤独になっている時間だけがなにも考えなくてすむ楽しい時間だ」「車でハイウエイを高速でとばすのは全くの孤独だ」と作者は語っている。