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ウォール街
Wall Street
1962年
紙本彩色・額 271.5×136.5cm
1961年4月横山は渡米した。約40日間の旅行であった。帰国後、この体験は61年の第33回青龍展に発表された《グランドキャニオン》や62年の第3回轟会展に出品されたこの作品として実を結んだ。世界の金融の中心地であるニューヨーク、マンハッタンのウォール街のビルの谷間は、横山にとっては「両側にそそり立つとてつもない高いガラスとコンクリートの峡壁に押しつぶされて、鈍色にくすんだ薄明の空間」であった。よかれあしかれ現代の先端である世界の大都市の〈底〉から見上げる光景には、単に巨大文明に対する素朴な驚きや嫌悪ではなく、それに対峙する画家自身の世界体験を携えた強靱な構えが見える。縦長の大画面のなか、両側の威圧的なビルの無機質の壁が、その間の負の空間を実在化している。ここでは、中央から上部に抜ける青空、建物の赤い部分によって、空問の構成と色彩の対照が強調されている。大胆な筆さばきによる壁面は、垂直線と遠近法の強調によって、堅牢で迫力ある〈実在〉として見るものに迫ってくる。横山の大画面の構築性が見事に結実している作品である。