外房しけのあと

絵画 油彩画 / 昭和以降

  • 山本鼎  (1882-1946)
  • やまもとかなえ
  • 1942(昭和17)年
  • 油彩・キャンバス
  • 116.7×90.9
  • 額装

 空、波など各部に黄、緑などが混ぜられているが、全体は明るいグレーの変化としてまとめられており、強い色を避けてある。塗りは薄いが、透明感はない。筆致も動きを生むというほどのものではない。主張が乏しいともいえよう画面は、しかし、一種奇妙な雰囲気をたたえている。
 画面を右から左まで占めるので、海はせりあがってくるように見える。下端の受け皿状の地面が、さらに海を宙づりにしよう。そこで水の物質感が強調されるわけでもなく、波が織りなす模様は平面的なパターンに近い。
 ただ、そこに合理的な構造は見いだしがたく、ために、かえって流動的な息づきが生じている。形さだまらぬ表面として、実在感もなく、無限に変転しうるそれは、海が見る夢かもしれない。 (石崎勝基)

外房しけのあと
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