b) 内容説明及び目録 A 賀茂別雷神社(通称:上賀茂神社)

 7世紀末には有力な神社であった賀茂別雷神社は、平安建都以降国家鎮護の神社として朝廷の崇敬を集め、11世紀初頭までに現在に近い姿に整えられた。
 その後、神社の影響力が衰え、また、内乱の影響もあって17世紀初頭にはひどく衰微していたが、1628年に再興された。この再興は境内全体におよぶものであり、記録や絵図を参考に平安時代の状況が再現された。
 再興後は、17世紀1回、18世紀3回、19世紀3回の本殿造替が行われ、国宝に指定されている現在の本殿【A1】、権殿【A2】は1863年再建のものである。近代には、本殿、権殿の半解体修理(1911)、屋根葺替修理(1972)が実施され、その他の社殿についても半解体修理、屋根葺替修理、部分修理が行われている。
 本殿、権殿は同形同大で東西に並び、正面3間、側面2間、四周に縁をめぐらし正面に向拝をつけた形式である。檜皮葺、切妻造平入の屋根を基本に、前方の流れを長くした“流造”の古制をよく伝えている。
 国宝の本殿、権殿の他、1628年の再建と考えられる34棟の建造物(北神撰所、舞殿等は1863年)が重要文化財に指定されている。
 神社の聖域は、神社本体の後方もしくは周囲にある山や森林を含んでいることが特徴である。神社のこのような自然的特性はその歴史的環境に必要不可欠なものである。賀茂別雷神社の推薦区域には神社後方にある神山を含んでいる。