陶土

絵画 油彩画

  • 中谷泰  (1909-1993)
  • ナカタニ、タイ
  • 昭和33年 / 1958
  • 油彩・キャンバス・額・1面
  • 97.0×130.0
  • 右下に署名
  • 35回春陽会展 東京都美術館 1958

18
陶土
Potter''s Clay1958年
油彩・麻布
97.0×130.0cm
右下に署名:T.N.
1958年第35回春陽会展
戦前から春陽会に発表をつづけ、すでに頭角をあらわしていた中谷は、戦後のほどない時期には、家族や身近な静物をモチーフに、堅実な構成のうえに様式化をくわえ、親密な情感をただよわせた作品を描いていた。しかし、1953年ころにいたって、目を内から社会的な現実へとむけることで、大きな転機をむかえた。《流田》(1953年)や《実らぬ稲》(1954年)などのように、前景に質朴な人物像をおき、社会の底辺で力強く生きる人々への共感をこめた作品が描かれた。さらに、この当時(1955年)を回顧して、「戦後の新しく起こった美術運動の仲間たちと、連れだって各地に写生に行った。(中略)はじめて見る炭坑町のたたずまいや、その背後に迫るボタ山に強く心引かれて、遠近法や空間の解釈まで変わってしまう程だった。その後の制作に大きく影響した。」(「自筆年譜」『中谷泰展』図録、三重県立美術館、1988年)と述べるように、実際に目にすることで、炭坑の風景とそこに住む人々の生活につよい衝撃をうけた。また翌年からは、瀬戸や常滑をたびたび訪れるようになり、陶器工場や採堀現場がモチーフにとりあげられるようになった。この作品は、そうしたシリーズの一点である。ここでは、かつての直接的な社会批判は影をひそめ、人間の営みをにじませた風景が主題となっている。そのためにかえって、緻密なマチエールのなかに中谷自身のもつ人々への共感にみちた暖かい眼差しが画面全体に感じられる。

陶土

ページトップへ