151 桑山忠明(1932− ) 無題(赤) 1961年
名古屋市生まれ。東京藝術大学日本画科卒業。1958年渡米し、以来ニューヨーク在住。65年頃から金属製の細い枠で縁取られ、筆触による表現を排した赤、青、黄などの色面を連結する形式の絵画を発表、しばしば当時のアメリカにおけるミニマリズムの動向と比較された。70年代半ばからはモノクロームの画面による制作へと移行。
この《無題(赤)》は、ミニマリズムの代表的作家ドナルド・ジャッドなども出入りしていたグリーン・ギャラリー(ニューヨーク)での桑山の初個展(1961年)への出品作である。画面の両端、そして横に走る銀色の帯は銀箔、赤い色面には岩絵具、支持体は麻紙と、桑山の当時の制作が大学で学んだ日本画を基礎にしていたことをうかがわせる。しかし後のメタリック・パウダーの使用に通じる銀箔の質感や明快な色面分割などからは、作者の手の痕跡を画面から極力排除することで「事物としての絵画」を追求していく、桑山の特質の萌芽がすでに明瞭であり、後の制作の出発点とも言うべき作品である。