越智健三 1929-1981
樹想(じゅそう)
鉄/鍛造
H.75, W.55, D.25cm 1970年
OCHI Kenzo
Tree Thoughts
iron / forging
まっすぐに上に向かってのびた直線が、林立する木立を思わせる。中央のまるい穴からユーモラスに顔を出す小さな「木」の先端のほかは、ほとんど素材のもつテクスチャーと色で構成され、純粋な造形が強調される。しかしそのモノトーンの金属のふくらみが、かえって闇深い森を連想させる。全体は複雑に交差し、入り組んでいるように見えるが、よくみるとダンボール紙をくるくるとまるめたように、2枚の鉄の板を打ち出し、溶接し組み合わせて作られている。
越智はもともと花器や盛り器を作っていたが、のちに実用性から離れた立体造形へと移行した。作品はいずれも鍛造された曲面の美しさが際立っており、「葉」、「実」、「誕」、「生」など生命と結びついた題名が多い。自然の張力に従って打ち出される鉄は、作家の手の中で自然から受けるイメージによって膨らみと萎みを自由自在に繰り返し、幻想的な風景を生み出している。
1929年 愛知県今治生まれ
1953年 東京藝術大学美術学部工芸科(鍛金専攻)卒業
1954年 第10回日展に「鉄の花挿し」が初入選
1965年 第4回現代日本工芸美術展覧会で《中庭構成のために》が初入選
1976年 東京藝術大学教授となる