中国山西省天龍山石窟第八窟の入口両側に高肉彫りに彫出されていた金剛力士像で、現状は両像共膝下を欠く。第八窟の入口向拝【こうはい】左壁には隋開皇【ずいかいこう】四年(五八四)の碑形【ひがた】があり、本像も窟内の諸像と共に、この頃造られたものと推測される。その表現は、なお北斉【ほくせい】様式の整斉された趣をとどめるが、顔や両腕のモデリングに自然さを加え、両手の構え、腰の捻り、着衣のなびくさまに軽快な動きがあらわれている。わが国の上代彫刻を考える上で見逃すことの出来ない、中国仏教遺跡の遺物の一つとして貴重な作例である。