手漉和紙は、美しさとともに耐折【たいせつ】、引裂【いんれつ】、破裂【はれつ】及び耐水【たいすい】などに強く、保存に適する特質を有する紙として世界的にも高く評価され、国内の文化財保存修理のみならず、ヨーロッパの壁画や古文書修理等の文化財保存にも欠くことのできないものである。その和紙の特色を生みだす要因は、ネリを使用した流し漉きの漉き方と、精緻かつ強靱に作られた製紙用具にある。
漉【す】き簀【ず】や漉き桁【けた】などの製紙用具の製作技術者は、手漉和紙の製法を熟知し、水と乾燥に強靱な材料を選び、数多い紙の種類に応じた用具の複雑な規格を微妙に作り分けなければならぬので、専業としての長い経験が必要となる。