流淵

絵画 日本画

  • 稗田一穂  (1920-)
  • ヒエダ、カズホ
  • 昭和39年 / 1964
  • 彩色・紙本・額・1面
  • 136.0×235.5
  • 28回新制作展 東京都美術館 1964

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流淵
Flowing Pool
1964年
紙本彩色・額 136.0×235.5cm
現代的なデザイン性で花鳥画という伝統的なジャンルに新しい境地を開いてきた稗田は、とりわけ鳥を描き続けてきた。それも鷹や鷲のような猛禽類や鶴などの水鳥が多いが、なかには種別は推察されるものの、どれとはっきりいえない鳥も描かれるようになった。それは同時にその鳥に投影された〈自意識〉の展開に呼応するようでもある。あたかも人格が宿った鳥の表情や姿勢は、同時に幻想的構成の風景による画面空間の発展とも結び付いている。この作品では、後の作品に見られるように空間が遠方に抜けたりはせず、まだ閉ざされてはいるが、それでも水波の侵入が、右上の外部への空間の拡大をも暗示している。事実、稗田は後に深く大きな広がりをもつ風景と、鳥やさらには人物を組み合わせるに至るのである。画面向かって左に、意識を研ぎ澄ませたような表情の三羽の鶴のような鳥の群れによる塊が立ち、それに対して右上では鷺(さぎ)のような白い水鳥が一羽飛び立つ。水際に立つ枯れた草と岸の作る面が画面を区画し、これらの画面の各要素はあくまで平面として画面をバランス良く区切っている。そして大胆で重厚な筆さばきが、物の実体感を支え、この凍てつく厳しい風景を成立させている。第28回新制作協会展出品作。

流淵

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