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水浴の女
Bathing Woman
1961年
ブロンズ
高76.5cm
1962年 個展(日本橋、高島屋)
アカデミックな教育も、修行時代もなく、ひたすら彫刻をやりたい一心でパリに渡った高田博厚の前には長い歴史と伝統に培われた重厚で密度の高いヨーロッパの芸術文化が立ち塞がっていた。その深く堅固な精神文化を前にして、手探りの状態で格闘しながら学んだことは、彫刻芸術とはそれ自体独りあるもの、無限に語りかけてくれるものであり、そして彫刻家の仕事とは、対象がその内部から発する力の極限を捉え、それを一元的な形態、簡潔率直な形に要約するということであった。高田博厚の彫刻に強い存在感をしばしば感じるのは、「そうした奥底からまるごと出てくるもののある」、人間存在それ自身の重みと、彫刻それ自身が本来持つ物質としての重みが一体となって、見るものにひしひしと伝わるからにほかならない。1929年、渡欧する直前に第4回国画会展に出品した《古在由直先生像》が如何にもロダン風で溌溂としたものを感じさせるのに比べ、この《水浴の女》はむしろマイヨールに近い作風を思わせ、控え目で入念なモデリングによる抑制された表現のうちに、決して揺らぐことのない確かな存在感が示されている。