上部に「天満宮」と書かれ、その下に束帯姿の天神と随身、狛犬が刷られている。年代の表記はないが、幕末の万延期(1860~61)以降に海外より輸入された化学染料「アニリン」(洋紅)がみられるので、おそらく明治期と思われる。本紙下部には方形印で「山甚」と押印がある。「山甚」は江戸の版元・山城屋甚兵衛(山泉堂)。
天神図は垂纓の冠を戴き、梅鉢文の黒袍に、白と紫の市松模様の袴をはく。腹部前に赤い平緒を垂らし、その下で襪を穿いた両足裏を合わせ、右手で笏を持つ。左腰に飾太刀を挿し、繧繝緑の厚畳に座し、視線を右におくる。背景に梅鉢文の幕が吊られ、奥には根上がり松と梅、笹の葉が刷られている。
随身図は、両随身ともに緌のついた巻纓の冠を戴き、赤の紋様の袍をまとう。弓・矢・飾剣(右方のみ)を持ち、豹皮を描いた台座に腰掛ける。
狛犬は体部の青磁色に白の模様を施され台座に坐す。右方は口を開いた「阿」、左方は口を閉じた「呍」として刷られている。