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書斎
1937年
油彩・キャンバス
130.0×162.0cm
1937 第7回独立展
東京国立近代美術館蔵
Study
1937
oil on canvas
130.0×162.0cm
The National Museum of Modern Art, Tokyo
この作品は、書物や書類が机の上に積まれた夜の暗闇につつまれた書斎を描いたものであり、向こう側の壁には、画家の顔が影法師となって濃淡三重にうつし出されている。前景ではにぎやかに描き込まれた書物や花など、現実的な光景が展開しているのに対して、後景には壁に映し出された画家の顔と照明の影以外、はっきりと判別できるものがほとんどなく、空間的な関係もあいまいなままで、超現実感が漂っているが、画面を包む深い暗褐色の闇の中で、両者は対照されつつも統一されている。ここでは書斎は、もはや写生的な実景ではなく、学者でもあった須田自身の投影となって象徴的世界に変貌を遂げているのである。色彩の数は少なく抑えられているが、絵の具が塗り重ねられたり掻き落とされることによって、微妙で複雑な階調を生んでおり、バロック絵画のように際立った対比を見せている明暗とあいまって、闇から浮かび上がる机上の光景に一種独特な不気味さを加えるのに大いに役立っている。