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棟方志功
MUNAKATA,Shiko
湧然する女者達々
Crowd of Excited Women
昭和28年(1953)
東京国立近代美術館蔵(作者寄贈)
青森に生まれ,ゴッホに心酔した棟方志功は,上京して川上澄生の版画を見て感銘を受け,平塚運一について木版画を始めた。棟方は木版なればこその表現をめざして版画を「板画」と呼び,民話や神話や経典に題材を取り,土着の日本人の情感や宗教感情にはじまって,人間の情念,呪術性,宗教性,宇宙観を,天衣無縫に力動感あふれる白黒の大画面の版画に表現した。この作品は・当初は6つの経典を6人の女体が表し,3人ずつ向き合って飛翔する2枚の構図であったが,後に縦構図の並列とし,右を上昇する女たちの〈湧然の柵〉,左を下降する〈没然の柵〉とした。原始の日本女性の生命のエネルギーが大胆に造形化されている。