茶のボール紙製の表表紙に「脚本創作用 参考 新聞切抜集((4))」と万年筆で書かれている。新聞劇評をおもに切り貼りしたスクラップブックの筆跡とは明らかに異なり、五郎の自筆のように思える。前者は柏木泉蝶はじめ五郎劇脚本部の人間が作成したのだろうが、この「脚本創作用新聞切抜集」は文字どおり五郎が創作のために自分で切り抜いて作っていたものだろう。五郎は新聞で報じられた事件をもとに台本を書くことがよくあった。記事の日付を見ると、昭和14年(1939)のものが大半となっている。同年に出版された『十五年の足跡』の表紙見本も貼り付けてあり、自著の装幀についても五郎はこだわっていたことをうかがわせる。