菊蒔絵螺鈿書棚 きくまきえらでんしょだな

工芸品 漆工

  • 蒔絵 川之邊一朝、金工 海野勝珉
  • 東京都
  • 明治 / 1903年
  • 三段で厨子を備えた棚である。木胎漆塗りで、棚底板裏面を除く総体を金沃懸地とし、金高蒔絵と厚貝螺鈿で、棚甲面や厨子扉から、棚板裏、厨子棚の内部、棚板小口にいたる細部まで、全面にわたって加飾を施している。群菊の間に飛び交う小鳥を表した意匠は、全て文様が繋がるように構成されている。棚の金具は、銀製透彫りで、一部鍍金する。流麗な唐草を透彫りし、さらに鋤彫りで立体感を加えている。出八双金具や、扉の掛金具には、中央に菊紋、その両側に桐紋を据える。
  • 高122.0 幅135.5 奥行46.6
  • 1基
  • 千代田区千代田1-8
  • 重文指定年月日:20240827
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 国(文化庁)
  • 国宝・重要文化財(美術品)

明治二五年(一八九二)に宮内省にて明治天皇の御物とすることを目的として、拵二口とともに製作されたうちの一つであり、約十一年の歳月をかけて完成した。当時は「明治の三大作」と呼ばれて報道され、世の耳目を集める国家事業であった。江戸時代の分類における書棚は、厨子棚、黒棚とともに、いわゆる三棚の一つに数えられる調度であるが、江戸時代末から近代にかけて、書棚は飾り棚としてさかんに作られた。本作も、新たな宮中での明治の棚として、伝統的な棚の要素を再構成して製作された意図がうかがわれる。また、意匠も細部にいたるまで、全て文様が繋がるように加飾している点も異例で、御物としての破格の造形を標榜していることが看取される。
さらに、宮内庁書陵部等に保管されている資料から、製作にかかる経緯を具に知ることができ、工芸史上、第一級の資料価値をもつ作例である。
漆工品としては大型の器物である棚の総体を、隙間なく加飾する密度の高い意匠としながら、蒔絵と螺鈿、金具に至る全体を破綻なく表現した、明治期の精密な工芸技術の粋といえる基準作といえよう。国家事業として製作が立案された経緯から、意匠、工芸技術における実力者が集められて製作にあたった、記念碑的な作品として重要である。

菊蒔絵螺鈿書棚 きくまきえらでんしょだな

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