板谷波山 1872-1963
彩磁延寿文水指(さいじえんじゅもんみずさし)
陶器/彩磁
H17.5, D22.0cm 1942年
ITAYA Hazan
Water container, floral pattern in finely incised lines and underglaze colors
stoneware / saiji (incised lines and underglase colors)
花の模様の薄いピンク色と、青海波(せいがいは)文の深みのある藍色が見事に調和した、品格の高い水指(みずさし)である。しっとりと潤いのある、優美な色あいがとても魅力的だ。延寿というタイトルが示すように、花は縁起のよい吉祥文として描かれているのだろう。
この作品は釉下彩(ゆうかさい)、すなわち、釉薬の下に彩色を施す技法で制作されている。釉下彩というのは、ひじょうに手間と時間のかかる仕事だが、波山はこの技法を得意とし、数多くの作品を制作した。防染処理をしながら彩色し、一色を塗るたびに素焼き程度の温度で色を焼き付け、最後に薄く釉薬をかけて本焼成する。
東京美術学校で木彫を学んだ波山は、浮彫にも秀でていた。この作品もよく見ると、花びらや葉の輪郭、葉脈の部分に浮彫りが施されており、うっすらと釉薬がたまっているのがわかる。繊細で立体感のある文様表現がなされている。
1872年 茨城県生まれ
1894年 東京美術学校彫刻科卒業、その後、石川県工業学校に赴任し、作陶研究を行う
1903年 東京田端に移住し、住居と工房を建てる
1914年 この頃、葆光(ほこう)彩磁に成功
1954年 文化勲章受章