124 大沢昌助(1903−1997) 岩と人 1940年
東京生まれ。1928年東京美術学校卒業。29年第16回二科展初入選。36年に二科会内部の研究団体である新美術家協会会員となる。42年第29回二科展で二科賞受賞。43−82年二科会会員。戦後は抽象へと作風を展開させた。54−70年多摩美術大学教授。
大沢の戦前の作品は、手堅い写実的な描写にもかかわらず、どこか不思議な雰囲気をかもし出した独自の存在感を見せている。この《岩と人》はその代表作のひとつ。画面中央に大きな岩のある海岸風景で、手前には少年と少女、奥には作業をする男たちの姿が見える。遠景の青と岩の褐色の中で、少女の朱色のワンピースがひときわ目をひく。この朱色を際立たせているのが、画面全体にみなぎる光で、岩や人が落とす濃い影も、強い太陽光線を暗示している。この光と影の強い対比が、どこか日本離れした(地中海的な)異国的雰囲気を生み、また少年少女が見つめる画面外の存在も、見る者の想像力をかきたてる。