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メキシコ静物
Still life in Mexico
1938(昭和13)年
テンペラ、麻布 112.5×161.5cm
tempera on canvas
第25回二科会展
この作品は、メキシコから帰国してまもないころに制作されたもので、まだメキシコでの生活が記憶になまなましく残っているといった熱気を伝えてくれる。物の量塊感をあらわに示す描き方、筆触を走らせることで表されたカ感、画面いっばいにものをあふれんばかりに詰めこんだ配し方などによってつくりあげられたこの絵画世界は、カと生命感とあるおおらかさに満たされた世界である。数えあげればきわめて多数のものが描きこまれているにもかかわらず繁雑と思わせないのも、北川民次の実現したおおらかなプリミティヴィズムのために違いない。こうした北川民次の絵画は、主にフランス近代絵画を範としてきた日本洋画壇に、大きな衝撃をもたらした。