驚く可き風景(B)

絵画 油彩画

  • 猪熊弦一郎  (1902-1993)
  • イノクマ、ゲンイチロウ
  • 昭和44年 / 1969
  • 油彩・キャンバス・額・1面
  • 111.8×193.5
  • 33回新制作展 東京都美術館 1969

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驚く可き風景(B)
An Amazing Landscape(B)
1969年
油彩・麻布
111.8×193.5cm
1969年 第33回新制作協会展
1930年代の末にフランスに行き、マチスやピカソの影響を受けながら清新な近代感覚あふれる絵を描き、戦後もその延長線上に画風を発展させた猪熊弦一郎は、当時すでに日本の洋画壇において安定した位置を獲得した画家と見なされていた。その彼が、ヨーロッパに向かう途中に立寄ったニューヨークの街が気に入って、そこに住むことになったのは、1955年、53歳の時のことである。その年齢でニューヨークの、日本と違った厳しさを愛し、思い切って具象から抽象に踏み切ったところに、この画家の新しい表現世界を拓こうとする精神の自由さと大胆さを見ないわけにはゆかない。
もちろん、彼も1950年代のアメリカ美術界を風靡した抽象表現主義の影響を受けた。そこから抜け出して、画面が構成的な秩序をもって組み立てられるようになってきたのが、1964年の《秩序と街》や《エントランス(A)》あたりであろう。この《驚く可き風景(B)》は、その展開上にあるが、いっそう明確になってきたのは、幾何学的な長方形や円が、例えば林立する建物や太陽を想わせる具象的記号となる傾向であろう。縦と横の線からなる幾何学的な構造をもつ街、ニューヨークは、また巨大な活カと流動性のある国際都市である。この都市に生活し、そこに常に新鮮な驚きを覚える作者の気持がこの絵に反映している。

驚く可き風景(B)

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